2012-02-20
昨日の「ラジオ寄席」は桂小南の特集でした。小南さんは1996年に亡くなってますから、1980年代後半から落語を本格的に聞き始めた私は、生の高座に間に合っています。小南さんの柔らかい語り口は情緒ある新宿末広亭のたたずまいと良く似合うものでした。
「ラジオ寄席」の1席目は「東の旅」ということになっていますが、小南さんの演じるのは上方落語ですから「兵庫船」とした方が正しいでしょう。「落語の蔵」から配信されている音源やCBSソニーから発売されていた桂小南LP全集でも「兵庫船」という演題になっていました。「東の旅」というのは別名「伊勢参宮神の賑(にぎわい)」という続きものの落語で(といってもひとつひとつの話は独立している)、現在では「東の旅〜発端」「奈良名物」「七度狐」「三十石」などの話が独立されて演じられる場合がほとんどです。この「東の旅」シリーズの中に「桑名舟」という話がありまして、内容は東京の「岸柳島(または巌流島)」のようなものなのですが、これが「兵庫船」と混同されて、東京では「兵庫船」の内容が「桑名舟」という演題で演じられることがあるようです。つまり「兵庫船」→「桑名舟」→「東の旅」というふうに変わってきているのでしょう。
2席目は「しじみ売り」。小南さんの十八番のひとつでしょう。「しじみや」という演題で演じたことも多かったようです。
ところで、小南さんの音源の発売状況ですが、CDはユニバーサル(旧ポリドール)から2枚4席、キングから1枚2席、その他「川戸貞吉選」や「ANY・にっかん」などから発売されていますが、足しても両手で数えられるほどしかありません。ほかにアポロンからカセットテープが5巻10席発売されていましたが、アポロンという会社自体が無くなってしまい入手困難。CBSソニーから出ていたLP全集、LP20枚プラス特典盤1枚、全55席という極め付きの全集、LP全集のなかから26席を抜粋したCD全集(通販で発売)、これらも入手困難と思われます。LP全集は、小南さんのライフワークの一環ともいえるものです。ぜひ、CDとしてすべてを再び世に出してもらいたいものです。
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